時をかける少女の冒険(後編)

 

ダイレクトな続きものがこんなに遅くなって大変申し訳ありません。

リアルがアホほど忙しかったことが全ての原因ですが、みくるの考察も難しかったんです…。

楽しみにしていた方、誠にすみませんでした…。

 

前回の考察で、

未来人が過去へ来た目的は「新たな時空振を検知すること」で、

みくるちゃんの役割は「自分が未来に帰るために未来を固定すること」にあると言及しました。

やはり未来人が新たな時空振を検知するだけなら、未来の地点から過去を観測してればいいのでは(実際に、未来人は時空の歪みを過去に遡って観測したわけではない)。

となれば、未来人が過去にみくるちゃんを派遣した理由は、時空振を検知する以外に他の目的がありそうですね。

 

では他の目的とは何でしょう。実はこれがまだ明確に明かされていないんです。

ただ、重要なヒントは藤原が話していますね。

 

「できるものか。あなたから見た未来は、その時間の先にいる他の観測者にとっての過去なんだ。固定された事実は常に不変状態を保たねばならないと、あなたも知っているじゃないか」

「そのための私たちですから」

「だが、もはやここから四年前より先には遡れない。時間平面修正の機会はないんだよ。必ずどこかで破綻を生む。なら、今ここでそうさせてもいいはずだ」

               涼宮ハルヒの驚愕(後)より

 

私ですね、ずっと藤原の「だが」という接続詞の意味を考えてまして。

何に対しての「だが」なんだろう。

 

「固定された事実は常に不変状態を保たねばならないのに、4年前より先に遡って不変状態を保つことができない」と言っているのかなと思うわけです。

 

ここで2つの推測が出来ます。

ハルヒによって生まれた時間断層は、未来の観測者にとって固定された事実ではなかった(既定事項ではなかった)

・4年前より先の時間平面上で修正しなければならない「何か」が起こった。

 

うむむ。どっちともとれるんですよね。

時間平面を修正したくても、ハルヒによってその道が閉ざされてしまった。

その事実は、バタフライエフェクトのように必ずどこかで破綻を生む。

だったら破綻を生む地点はどこでも構わんと言う。

 

以上より未来人の目的は、ハルヒの持つ時空改変能力の調査はというよりは、過去の改変によって発生したパラドクス解消のための時間平面の修正が目的かなと思います。

 

(そして「ハルヒが時間平面を修正し続けていた」事実を過去人or宇宙人に伝えることがタブー?だったのは個人的に気になっている。これは次巻以降の鍵になると思うのだけれど)

 

ようやく本筋に入れます。

 

何故朝比奈みくるでなければならなかったのか。

 

さて、未来人の目的と朝比奈みくるちゃんの役割を整理して辿り着いた回答があります。

それはみくるちゃんじゃないと出来なかった行為は実はないのではないか

ということです。

しかし、みくるその立場を考えたときに、無視できない対抗勢力の存在があります。

 

「彼女が知らされていないのはゆえあってのことですよ。なぜなら、未来人が明確な意図を持って動いていることが解ったとしたら、後はその動きを分析すればいいんです。彼女が自分の未来にとって不都合な行動を意図的にするわけはありませんからね。朝比奈さんが未来人の割にうかつに見えるのは、ほとんど何も知らないからです。あえて知らされていないとしか思えません。それは過去人である我々が分析できないようにする、未来からの対抗措置ですよ(以下略)」

        「 涼宮ハルヒの陰謀」より

 

古泉の推測ですが、これはおおむね妥当でしょう。

何故ならみくるちゃん(大)が後に古泉が未来人にとって要注意人物であることを明かしています。

 

まあ、結局これもみくるでなければならない理由足りえないのです。

 

だから明確な理由はありませんし、

もしかしたら次巻以降でみくるちゃんではないといけなかった理由が出てくるのかもしれませんが、今現時点ではこれなんじゃないかと思ってます。

誠に悔しいことに根拠はない。

 

それは、SOS団―ひいてはハルヒの味方になれる子だから。

 

何度でも言いますが、七夕に時間移動するのも、バレンタイン前に工作するのも、なんならみくるちゃんじゃなくても良かった。

誰でも可能だった。

 

しかしあえてみくるちゃんでなければならなかったとしたら、それは何だろう。

 

だから考え方を修正します。

 

未来人がみくるちゃんを選んで派遣したのではない。未来人の中でハルヒによって選ばれた子なのだと。

因果関係逆転してないかって?まあまあ、最後まで付き合って欲しい。

 

 

萌えキャラでハルヒに振り回されるだけなら、きっと誰でも可能だった。

リアルでハルヒを苦手に思う方々がいるように、ハルヒによる暴虐の一番の被害者であるところのみくるちゃんは、任務を放り出して未来に帰ることも勇気を出してSOS団を放り出すこともできた。

 

できなかったのではない。しなかったのだ。それは何故か。

 

断れない悲劇のヒロインだから?

最初はそうだったのかもしれない。

ハルヒの無理難題に泣いたし、キョンは言うだけで役に立たないし、長門は怖いし、未来の上司は何も教えてくれないし。

 

未来人の使命だから?

確かにそうかもしれない。なんなら未来人には最優先の強制コードがある。

 

しかし、果たして使命だけなのか?

彼女は、成長してもこの現在の時間平面に来たり、過去の自分に行動をなぞらせたりしている。多少の変化では未来は変わらないとみくるちゃん(大)自身が知っているにも関わらず。

 

こんな予想はどうでしょう。

実は全く別の誰か(藤原のような思惑を抱える人間)が派遣されることが決まっていたが、何らかの間違いで過去に来てしまったのが朝比奈みくるちゃんであり、それはハルヒの意思によるものだったのだと(間違い以外で来るわけないと思っているのではない。決して)。

 

宇宙人、未来人、超能力者の3勢力のバランスが均衡しているのは、宇宙人が監視重視で温厚であったことと、未来人の朝比奈みくるドジっ娘すぎて超能力者の脅威にならないからです。

みくるちゃんが何も知らされていないのは古泉曰く未来からの対抗措置でもありますが、その立場を許容できる器が彼女にはあり(悔しい思いをしているが)、それをバネに成長しようと頑張れる彼女の心根の素直さこそが、朝比奈みくるが選ばれた必要不可欠な要素ではないかと思うのです。

 

また、未来人の中では彼女以外でハルヒの味方になれる子はいないと考えます。

 

何故なら過去のことを知り、その事実が不都合なものなら変えたいと思うのが当たり前の感覚です。

もし未来に影響が出ないのであれば、それこそ躊躇なく変えて、その望み通りの現在をに生きようとするでしょう。

また、どうやら現在を変えても未来に影響はないと言っているくせにハルヒは未来に影響を与える存在となっており、未来人にとっては非常に脅威的存在です。

そんな人物を目の前にして、何も思わない未来人など果たしているでしょうか?

たとえ過去を知らされていないのだとしても、ちょっと勘が良ければすぐに気づきそうなものです。ハルヒにはとんでもない利用価値があるのだと。

シリーズを振り返り、彼女は主体性を持って何かをしたこと、したいと思ったことがほとんどないことに思い至りました。

精々可愛い服や雑貨を購入したい、花火大会に行ってみたいと思うだけです。

 

しかも皆のためにより良いお茶を淹れたいと思って茶葉買いに行くんですよ。可愛いすぎる。これ凄いことですよ。

例えば私が過去に行くなら、間違いなく競馬の的中データととロト6の当選番号一覧を持っていくでしょう。

しかし彼女はハルヒのそばにいるだけで未来のデータで一儲けすることや過去を変えようなどという気配も全くない。またハルヒを利用したいと一ミリも考えていない。それどころかハルヒの良いように遊ばれている。

この点のみが他にはない要素です。

 

成長して数年後も、大人になってからSOS団を助ける立場として過去に干渉している。成長して全てを知った後でもなお、未来人側の立場でありながら、あくまでキョンの意思を尊重して導こうとしている。

これがSOS団の――ひいてはハルヒの味方ではなくてなんなのか。

 

 

え、美少女という点は?という指摘もあると思います。

一度真面目にこの線で考えてはみました。

しかし、美少女なら他にもおるやろと個人的に考えていまして、未来において整形技術が一層発展しそうなこと(金銭コスト低下、骨格から容易に改造可能等)を思えば絶世の美男美女の一人や二人はいてもおかしくはなく、みくるちゃんだけが美少女だとは考えにくいのです。

また、美少女はもれなく周囲から嫉妬されやすく、そんな周囲の黒い感情を浴びたみくるちゃんが箱入り娘のような愛らしい萌えキャラ属性を手に入れるとは考えにくい。

 

 

ということで真面目にみくるちゃんが過去へ来た理由を考えてみました。みくるファンの方、どうか怒らないで欲しい。

さて、いかがでしたでしょうか。

実は彼女のことを考えるのが一番難しかったりします。

みくるちゃんの解釈おかしすぎだボケという方がいましたら、是非ツッコミをお願いします。袋小路に入りそうだったんだ、この考察。

 

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